西暦2000年冬、44号より

P14より
よろこんで与える人間となろう
                                
善峯寺 副住職 掃部光昭

 あるお寺の伝道掲示板に次のような言葉が掲 げられていました。

 よろこんで与える人間となろう  物があれば物を 力があればカを  知識があれば知識をみんなに与えよう  なければ自分の中に育てて与えよう  花は美しさを惜しまず  小鳥は楽しい歌を惜しまない  誰にでも 与える  与える時 人はゆたかになり  惜しむ時 いのちは貧しくなる  よろこんで与える人間となろう

この掲示板についてご住職にお尋ねすると、こ れは、全国青少年教化協議会が「わたしたちの 願い」 と題して発表した一部だそうです。

 ″よろこんで与える人間となろう″の一行が 深く心に残ります。
ほんとうにこの言葉の通 り、いつでもどこでもだれにでも、喜んでまご ころを持って与えられる自分であったら、どれ ほどうれしいことかと思われるからです。
 しか し現実の私たちはこの通りではありません。
人 に何かを与えるなんて、損だとか、これを与え れば相手が私より得をするからやめておこうと か、与えてもいいけれど見返りを期待したり ……。

ほんとうに喜んで与えるということは、 とてもむずかしいことと思われがちです。
 さて、そこで仏さまが教えてくださった、喜 んで与える人間になるための方法は、″まずや れることから行いなさい″ということです。
決 して物やお金だけを与えることではなく、温かい眼で、なごやかな顔で人に接する。心のこ もったやさしい言葉で語る。
そうです。竜車や バスのなかで座席をゆずることなどどれも喜ん で与えることの実践ですね。  
 与えたものが返ってくる、人に喜びを与えた ら、自分に喜びが返ってくる。
人に怒りを与え たら、自分に怒りが返ってくる。人に悲しみを 与えたら、自分に悲しみが返ってくる。
これが 因果の法則です。他人にすることは実は自分に することと同じです。
人を傷つけるのは、自分 を傷つけること。
これがわかれば人生は質的に大転換だと思われます。

 どうか、喜んで与える人間に、私もみなさんも なっていきたいものです。
南無観世音菩薩       合掌

P16より
西国三十三所巡礼ツアー 初参加によせて
竹生島・宝厳寺
仏画工房 楽詩舎 絵師  村上惠那

善峯講、西国第30番札所・竹生島宝厳寺巡礼の旅に初めて御一緒させて頂きました。
 私の仏画の師匠、藤野正観先生とお仲の良い光昭副住職から「村上さんも、来とぉくれやす。」とうれしいお誘いを頂きました。
あつかましくも、二つ返事をしてしまったのが、初めての巡礼ツアーとなりました。
巡礼といえば、集印軸です。仏画を描かせて頂く仕事柄、「集印軸」は、お馴染みですが、 紺屋の自袴、自分の物となると持っていません。せっかくお供するのなら、私もと、その日から、先生の描かれた観音様を拝写させて頂くことになりました。
 1週間ほどで仕上がったのですが、台紙に貼り付けようとした時、大変な失敗に気が付きました。全身から冷や汗がにじみ出るのを感じました。 その間違いといいますのは、観音様のお姿をお描きする位置を間違って描いてしまったのです。
結局、先生のアドバイスで仮巻き台紙の線の位置を観音図に合わせ、手で書くことで、何とか、解決しました。観音様の位置が少し下になりましたが、災い転じてなんとやら、まぎれもなく私だけの集印軸ができたことにあいなりました。

10月7日、私の初の西国巡りスタートの日。 
なんだか嬉しくて仕方がありません。 珍しい女性の運転手さんと、関西弁のとっても素敵なバスガイドさんに案内されて彦根城樽物館へ。
交通事故の処理作業に遭遇し、少し遅れて到着。少し駆け足で観て回り、船の出航時間に合わす為、早い昼食をいただきました。くつろぐ間もなく彦根港より船で約20分、初秋の琵琶湖は穏やかで湖上の風も心地良いものでした。


彦根港から竹生島までの船内(下、中央が村上さん)
 
 聖なる島、竹生島は集印帳や集印軸を持った方々でいっぱいでした。
副住職が「ちょっと長い階段です。皆さんゆっくり登って下さい」とおっしやっていましたが、「何のこれくらい大したことはない!」と意気込んだのもつかの間、上に登るにしたがって膝がガクガク、上がらなくなってきました。
毎日、ほとんど座って絵を描いているので外へ出かける機会が少なくなります。
  比較的自信のあった脚力も年々弱っていきます。これからは、若くない身体、まずは、脚から鍛えておかないといけないと、つくづく痛感させて頂きました。
 本堂で皆さんとご一緒に般若心経を唱え、生かされていることに感謝をし、これからもずっと健康で、大好きな仏画が描けますようにとお祈りをしました。  

 掃部光暢ご山主は、常々、「観音さまがお守り下さって、私の今がある。」とおっしゃいます。 そんな素敵なことばが自然に自分の口から出るような、そんな人生が歩めたらどんなに幸せなことか…。

 おかげさまで、仕事柄、仏様や観音様のお姿が、自分の生活の中に常においでになります。
そんな仕事に携われることに感謝し、宝厳寺のある竹生島を後にしました。
帰りのバスは、名神高速を通らず、琵琶湖大橋経由で京都へ。
途中、「鮎や」で、申し訳ないぐらいお腹いっぱいに試食をさせてもらいました。
このまま帰っては、申し訳けないので、 琵琶湖の特産物のお土産を少し買いました。
「日が暮れるのが早くなったね」と楽しい会話を交わしながら、善峯寺に無事到着。 すがすがしい初秋の1日を、皆様と共に楽しく過ごさせて頂きましたことに感謝。
ありがとうございました。   合掌

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