38号より  除夜 の鐘
                                 掃部光昭

 平成九年大晦日、近ごろは除夜の鐘をつきに善峯寺を参詣される方が多くなりました。
除夜の鐘 は百八つまでと決められていますが、善峯寺では 希望者が多いので、百八、どころか三百、近くに もなってしまいます。
住職は「除夜の鐘をついて、 過ぎ去った一年を反省し、来たるべき年の幸福を願ってくださるのなら、いくら多くの方が鐘をつ いてくださってもけっこうです」と申しておりま す。
除夜というのは「一年を取り除く夜」という 意味で、文字通り十二月三十一目の夜のことをい い「昔はご先祖をおまつりし、家族が一年間無事 に過ごせたことを感謝して、宴を開いた」と(日本歳時記)にもあります。
まさに家族そろって「仏 様、ありがとうございました」とお礼を申し上げ たのです。
家族そろえば「年越しそば」になります。
そばのように細く長く生きることを願って大 晦日に食べる習慣になったといわれます。
年越し そばをいただきながら、遠くから聞こえてくる除夜の鐘に耳を傾けてください。

 除夜の鐘は百八つの 煩悩を取り除くという鐘の音。
一つ、二つ、三つ と聞くうちに心も澄んできます。

 煩悩とはわかり やすくいえば、自分にとって離し難い、捨て難い 「こだわり」・「欲望」・「愛着・執着」のことですね。
この煩悩に端を発して起こるさまざまな感情が、 人生に災いをもたらすことがあります。
 人生がよ り平穏であることを願うとき、煩悩消滅を祈り、 素直に観音様に身も心もおあずけして、いま生か されている喜びを「観音様ありがとうございま す」の言葉に乗せてお礼を申し上げたいものです。                            

戻る