31号より  善峯寺境内の花と極楽浄土

                                 掃部光昭

本坊の秋明菊

 当山の山門を抜けると、青々とした多くのもみじ、その 下には、石楠花、皐月、秋明菊、椿、桔梗、平戸つつじ、 庭桜、蛸梅等、少し見廻しただけで、十種類以上の花木が目に止まる。
参詣された方々が色々の草花を見、「ワァ きれい」とか「美しい」とか、「この花の名前は何という花か」と、声を出されているのを耳にします。

 先日、あるお参りの方が秋明菊を御覧になり、三つ葉 と間違われ、「おつゆの中に入れたらおいしいでしょう」 と申されています。
すぐこの草花は、「秋明菊と言う植物で九月頃に可愛らしい紫色の八重の花が咲き京都では貴舟菊とも申すんですよ」と教えてあげると、『花より団子』かな・・・?と思う。

 皆様に参詣され色々声を発せら れるのも、普段、ビル、アスファルト、小さな公園、そ して、限られた自宅の庭で生活されていますと、あまり 四季の花木に心を打たれることも無い様に思います。
 こうして当山に来られ、ほんの一瞬でも、自然と人工美の合いまったすばらしい所、この声を少しでも多く出 されることを、寺を守らして頂いている者としては、常 にそう感じます。
 又、本堂の前に立つと、私の声で「本日はようこそ御参詣下さいました。境内は三万坪で四季おりおりの花が咲いております」とアナウンスしております。

四季おりおりと申しております以上、本当に四季おりおりの花が無いと、見えられた方に申し訳が無いので、暇が有るご とに、境内を見回り、この場所は何かさびしいなぁとか、ここには、あの木を植えたらどうかと、常に植物図鑑を見、思いにふけっております。

 参詣の方々にお配りするパンフレットの中にも、「花 ごよみ」として、境内の代表的な四季の見所を紹介しております。

三月中旬梅、
四月中旬桜、
五月平戸つつじ、
六月初旬皐月、
七月初旬あじさい、
八月中旬高砂ゆり、
九月より秋明菊、
十月から十一月紅葉、
十二月より二月 まで南天、山茶花、椿等、

一年を通じて楽しんで頂けま す。
ではなぜこの様に多数の花木を植えているかと申し ますと、何も、植物園を造ろうとして居るのでは有りま せん。
寺にお参りされ、本堂に立たれて、観音様に合掌 されるまでの環境が大切なのです。
一木一草全て仏様で す。
ですから、寺の中だけではいけません。
広く申せば 家を出られ、善峰寺に向かわれる途中、寺の近く全てが、 ごみの無い美しい町でなければ成りません。

 昨年善峰寺までの、集落の有志の方々が、秋にコスモ スを咲かし小塩町に見えられる方々に美しい環境また、 楽しんで頂こうと、春には道路の回りの雑草を刈って掃除され、一本一本大切に植えられていました。
そして秋 にはみごとなコスモス街道が出来上がっておりました。
これも、コスモスを植えられたのですが、最終的に仏様 を作られたのだと思い感心致しました。

 これを料理に例 えますと、いくら良い材料でも、器と中の材料とがとも なわないと、美しく見た目もそして、口に食しても最高 の料理とは申せません。
まして信仰心を呼び起こしたり、 信仰心の無い方でも、寺の山門を入ると、俗界とは違い、 心がおつちき、少しの時間でも和んで頂きます。
だから どちらの本尊様もありがたい仏様でございますが、それ以上にやはり回りの環境が大切な要素に成っていると考えます。
 ですから、私は毎日境内を注意深く見廻しながら、ご みは落ちていないか、又、参道はどうかと見まわり少しのごみでも有りますと、持参のくず龍の中のツマミ火箸 で、ごみをこの中に入れます。

 よく私の下の子供が「おとうちゃんまたごみ拾いか」と申しております。

私はごみ拾いのおとうちゃんで良いと思っております。
口で言 うことも大切ですが身を持って行動することが、一つの教育に成ると考えております。
又、寺に参詣された方々にむずかしい法話を上手に伝えることもあまり得意では ありません。
ただの雑談ですといくらでも話すんですが・・・。
 寺にお参りして頂いた方々が、善峰さんにお参りして良かった、もう一度、家族、あるいは、だれかをつれて来てあげたいと言う声を一言申して頂けたら、それで一 つの布教だと勝手に解釈しております。

 前に述べた境内 の花木ですが、一木一草が仏様ですから、四季の花々が 咲き鳥がさえずり、仏様がおられ、仏の教えをい説く僧侶 が任している所が、一つの極楽浄土だと考えております。

 ですから、この世の極楽浄土を作らせて頂ける幸福を有 りがたく思っている今日です。
最後に、多くの皆様に参加して頂いて、観音浄土を作って頂くには何の花木を植えてもらうのが良いか、多くの本を読んだり、住職と相談したりして、よく世間で申されています、立てば芍薬、 座れば牡丹、歩く姿はユリの花、そこでユリは境内に高砂ユリが有りますので、牡丹と芍薬にしてはと話が盛り上がりました。
 四月の中頃より、牡丹と芍薬の専門書を 買って、勉強致しておりますと牡丹は中国原産で、大変 仏教に係わりが有り、ありがたい花木であると書かれており、結局牡丹に決めることに致しました。
そこで境内 のあいて居る所をさがし、石で囲って新しい土を入れ、 植える場所の準備を致している所でございます。

 ※おかげさまで現在では、春になると牡丹が満開です。

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